「医者に聞きたい!」ドクター都のほろ酔いがん相談

がんについて対話形式でじっくりと分かりやすく説明していきます。ほろ酔いで(笑)

ケース4 がんセンターで手術を受けるかどうか悩む柴田さん(45歳男性)

今回は私の仲の良い友人が登場します。

地元茨城県の病院で昨日大腸がんと診断され、手術を予定されているらしいのですが、東京のがんセンターでの手術を希望しています。しかし、ご家族は地元での手術を希望されており、意見が分かれ少しもめているとのことです。

「後悔の無いよう、日本で一番症例数の多い病院で手術をしたい」と思う患者さんはたくさんいらっしゃいます。

 

 

 

柴田さん:悪いね、急に呼び出して。

 

Dr都:仕事帰りに一人で軽く一杯やっていただけだから、大丈夫だよ。ところで、大腸がんだって??メール見てびっくりしたよ。

 

柴田さん:そうなんだよ、まさか自分ががんになるとは思わなかった。昔からたまに血便があったんだけど、痔だと思っててさ。大腸カメラをしたら...。

 

Dr都:大腸カメラははじめて?

 

柴田さん:そう、はじめて。ここ数ヶ月、血便の回数が増えたし、量も多くなった気がして、それで地元の総合病院に行ったのね。それが先月で、昨日組織検査の結果を聞きに行ったら、がんだって言われたよ。

 

Dr都:そっか...30代、40代の大腸がんは増えているからねぇ。親族にがんの人は?

 

柴田さん:それが全然いなくてさ。それで油断してたよ。職場健診で便潜血は2年位前から引っかかってはいたんだけど、若いし痔だろうって。あの時調べておけば...。

 

Dr都:まあ、それはもうしょうがないよ。それより、ステージについえては何か言われた?

 

柴田さん:見た目にはたぶん早期だろうって。2週間後に手術の予定を入れてくれたって。それまでにいろいろと検査するらしい。

 

Dr都:転移さえなければ、ステージ1か2で手術で根治できる可能性が高いね。

 

柴田さん:そう、そうあって欲しいよ。で、手術するならさ、東京のがんセンターでしたいと思っているんだけど、どう思う?

 

Dr都:茨城からがんセンターに通うの?ご家族は何て?

 

柴田さん:東京だと小さい子を連れて見舞いに行くのは大変だし、地元で手術を受けて欲しいと言われている。地元の病院は家から徒歩10分だし。

 

Dr都:10分?そりゃあ、地元で受けて欲しいって言われるね。手術後の通院もあるし、奥様もしばらくは近くに宿を取ることになるだろうし。それに...万が一合併症が起こって入院が長引いたりしたら大変だしね。

 

柴田さん:そこなんだよ。手術って何が起こるか分かんないんでしょ。万が一が起こっても、がんセンターでだったら後悔しないというか、諦めがつくかなと。まだ若いから、最善を尽くしたい。もし自分が高齢者なら、間違いなく地元の病院で手術を受けるよ。

 

Dr都:うーーん。ところで、手術をする地元の病院は何てとこ?

 

柴田さん:〇〇総合病院。

 

Dr都:そこって結構手術症例多いんじゃない?

 

柴田さん:ネットで調べたら、茨城県内では多い方だった。でも、がんセンターよりははるかに少なかったんだよね。

 

Dr都:まあ、がんセンターは大腸なら大腸の症例が集まるからね。多くはなるよ。でも、腕はそこまで変わらないと思うよ。

 

柴田さん:担当の先生も、うちでも大丈夫ですとは言ってくれたんだけどさ。あとは、2週間後の手術をキャンセルしたら、また予約の取り直しだって。

 

Dr都:まあ、そうなるわな。

 

柴田さん:実は昨日病院の帰りにさっそくがんセンターに電話したんだよ。そしたら手術予約が埋まっていて、2ヶ月待ちだって。そんなに混んでいるんだねぇ。

 

Dr都:がんで2ヶ月は待ちたくないね。でも、早期だったら大丈夫かもしれないなぁ。

 

柴田さん:妻にそのことを話したら、それこそ地元で早く手術しなさいと怒られたよ。

 

Dr都:うーん。フォローしてくれるのは家族しかいないし。奥様の希望通りがいいかな。

 

柴田さん:でもなあ...手術のレベルっていうのかな、そういうのはやっぱりがんセンターの方が上?

 

Dr都:毎日大腸がんの手術ばっかりやっている医者の方が、上手いというか慣れてはいると思う。でも、その病院の外科だったら、正直そこまでの差はないと思う。

 

柴田さん:そっか...結果が出て、もし進行がんだったら、がんセンターにセカンドオピニオンで行ってみようかと思う。早期だったら難しくない手術だろうから...もちろん手術に簡単とかはないと思うけど、差はないかもしれない。でも、難しい手術だったら...。

 

Dr都:もし進行がんだったら、その後抗がん剤とかすることになるかもしれないけど、それもがんセンターまで通院してやるの?

 

柴田さん:抗がん剤になったら、地元の方が近いからもし副作用が出ても通いやすいかなとは思う。

 

Dr都:正直に言うと、早期だろうと進行がんだろうと、今の時代、外科医の差はそこまでないと思う。多少はあったとしても、術後の生存率とかそういった成績が変わるほどではないと思うよ。

 

柴田さん:そう?

 

Dr都:うん。地元に、それも自宅の近くにちゃんと手術できる病院があるのに、2ヶ月待ってがんセンターに行くのは、あまりお勧めしないかな...それに、ご家族も希望されているのであれば。

 

柴田さん:ん...。

 

Dr都:もし...ね、もしだよ、検査で進行がんだったら、セカンドオピニオンに行った方が自分自身に納得がいくとは思うんだ。早期だったら、その必要はないかなぁ。

 

柴田さん:そっか。そうするかなぁ。じゃあ、検査結果が出たらまた相談させてよ。

 

Dr都:ぜひぜひ。早期でありますように!

 

柴田さん:2年前にカメラをしてればなぁ…。

 

Dr都:そうだねぇ。でも早期だと、5年生存率90%以上だし、手術で根治できるからさ。早期であることを祈ってるよ。

 

柴田さん:こればっかりは、神様にお願いするしかないね。いやー、でもカメラやっときゃ良かった…。

 

Dr都:もう考えない考えない!

 

柴田さん:うん。はぁ…ため息ばっかり。

 

Dr都:またいつでも遠慮なく相談してよ。

 

柴田さん:よろしくお願いします。