「医者に聞きたい!」ドクター都のほろ酔いがん相談

がんについて対話形式でじっくりと分かりやすく説明していきます。ほろ酔いで(笑)

ケース3 がん保険のことで悩む河井さん(36歳男性)

今回は、飲食店を営む河井さんです。都のよく飲みに行くお店の店長兼オーナーさんです。

半年後に第一子が生まれるらしく、それに伴い保険の見直しをしていて、がん保険について相談したいとこのと。

 

 

 

河井さん:今日はよろしくお願いします。

 

Dr都:最近忙しくてお店に伺えず、すみませんね。

 

河井さん:いえいえ。いつも来て頂きありがとうございます。

 

Dr都:とんでもない。ところで、今日はがん保険について相談があるんですって?

 

河井さん:そうなんですよ。半年後に初めての子供が生まれるので、生命保険に入ろうと思って保険屋さんに相談したら、「これからの時代、がん保険も必要」って言われてですね。

 

Dr都:おめでとうございます!保険屋さんから、いろいろな特約のことを言われて混乱してません?

 

河井さん:そうなんですよ。特約もですけど、入院給付金か診断給付金とか言われても、どうすれば良いのか分からなくて…入らなくても大丈夫なら、生命保険だけでも良いのかなって気になっちゃいます。

 

Dr都:なるほど。でも、河井さんは自営業なので、個人的にはがん保険に入った方が楽かなと思います。もし河井さんがもうお店に出ないで指示だけをする立場で、貯蓄がたくさんあれば必ずしも必要ありません。

 

河井さん:32歳で脱サラして始めた今のお店が、起動に乗ってはいるものの、これから子供もお金かかるだろうし、貯蓄は正直厳しいですかね。

 

Dr都:分かりました。ところで、がん保険の一番のメリットは何だと思いますか?

 

河井さん:がんになったらお金がもらえる…でしょうか。

 

Dr都:そうですね。がん治療って結構お金がかかるんですね。まず、がんが疑われて診断し、治療に入るまでに、さまざまな検査で10万近くはかかります。その後入院して手術になるのですが、だいたい2~3週間の入院で30万前後かかります。

 

河井さん:それって健康保険に入っていてもですか?!

 

Dr都:はい。3割負担でです。それに差額ベッド代や食事代、病室着などプラスがかかります。

 

河井さん:他にもかかるんですね…でも、高額医療費制度ってのがあって、もっと安くすむって思っているのですが…。

 

Dr都:そうですね。限度額以上は返ってきます。だいたいですが、月収50万以下は月4.4万円、50万以上だと9万~14万円くらいです。あと、差額ベッド代など健康保険と関係ない部分には適応されません。

 

河井さん:4万だったら何とかなります。プラス分も何とか…

 

Dr都:ただ、その間に仕事できないとなると、自営業の方は丸々収入が無くなっちゃいますよね。あと、高額医療費制度は、限度額を超えた分が申請後に返ってくるシステムなので、退院の時には数十万円払わなければなりません。

 

河井さん:あ…

 

Dr都:がん保険の診断給付金というのは、がんと診断されたときに100~300万円を支給してくれるもので、早く申請すれば、退院までにお金が用意できます。おまけに働けなかった分もカバーできます。

 

河井さん:それはぜひ付けておきたいですね。

 

Dr都:あとは入院給付金というのは、入院日数に応じて支払われるもので、基本的には退院後に給付されるので、お金に余裕があればこちらでもよいですし、診断給付金とセットにしてもよいと思います。

 

河井さん:でも、月々の保険金が上がるんですよね?

 

Dr都:そうですね。あと、気をつけなければならないことがあります。がんって再発することが多いのですが、再発したら2回目の診断給付金は受けられないことがあります。最初の診断から2年が経過していれば再発でも給付してもらえる場合もあるので、約款は必ずチェックしてください。

 

河井さん:再発したらダメなんて、怖いですね。

 

Dr都:手術後半年で再発して、申請したら給付を断られ、「聞いてない」ってもめるケースもありますよ。再発の方が長いしお金かかるので、再発に関しての約款を見落とさない様にしてくださいね。

 

河井さん:気をつけます。通院給付金というのは何でしょうか。

 

Dr都:退院したらしばらく通院するでしょう?その通院分を補償してくれるものです。抗がん剤放射線治のための通院でも補償されます。

 

河井さん:通院日に働けないとなると、入っておいたほうがいいのかなぁ。

 

Dr都:言い忘れていましたが、給付金を申請する時に定期的に医師の診断書が必要となってくるので、その費用も1回5000円程度がかかります。

 

河井さん:何か、考えるのが嫌になってきました。

 

Dr都:しっかり考えて決めるのって、本当に大変なんですよ。

 

河井さん:でも、聞けるとこは聞いとかなきゃ。手術給付金、抗がん剤給付金、放射線給付金というのもありました。

 

Dr都:万が一、がんが見つかった時に進行していて手術が受けられないとなると、手術給付金は支払われません。手術だけで済んでしまったら、抗がん剤給付金や放射線給付金も同じです。

 

河井さん:むむむっ。高額医療費制度もあるし、無くてもいいかな…。

 

Dr都:そうですね、必須ではありません。

 

河井さん:最後に、先進医療特約ってどう思いますか?

 

Dr都:要らないと思いますよ。余裕があれば入っていても良いですが、先進医療の中には効果が不確実なものが多いので、私はあまりお勧めしません。

 

河井さん:陽子線…でしたっけ、300万くらいかかるやつ。

 

Dr都:陽子線や重粒子線は悪い治療ではないのですが、適応の幅が小さいので、その治療を受けられるとは限られませんからね。

 

河井さん:そうですか。先進医療=何でも治せるものだと思っていました。

 

Dr都:一般の方はそう認識されていることが多いですね。実損支払い型という保険もあって、それだと先進医療や自由診療も含めて、がん治療にかかった費用をすべて払ってくれるというものですが、そこまでカバーするものとなると月々の支払いが高くなっちゃいますね。

 

河井さん:うーん。

 

Dr都:あとは、終身型と定期型がありますが、河井さんはお若いので終身型の方がメリットがありますかね。定期型だと年を取ってからどんどん高くなっていきますし。

 

河井さん:私も入るなら終身型だと思っていました。でも、特約とかは悩むなぁ。

 

Dr都:もし河井さんががん家系だったら、少し手厚くしても良いかもしれませんよ。

 

河井さん:うちはがん家系なんですよ…だからたくさん特約を付けようかと悩んでいて…。

 

Dr都:ライフプランと月々に支払える額の良いバランスを取れる保険に入れるといいですね。無理にすべてに入る必要はないと思います。

 

河井さん:そします。そういえば、自営業の人はとはじめに言ってませんでしたっけ?

 

Dr都:はい。サラリーマンの方の場合は、傷病手当てというのがあって、最大1年半休業中も給与の補償がされています。

 

河井さん:あー、聞いたことある。サラリーマン時代は全く使ったことなかったな。

 

Dr都:まあ、若いですしね。事故や大怪我でもしない限りは使いませんよね。サラリーマンの方が健康保険や年金などいろいろ優遇されているかもしれませんが、自営業で夢を追いかけている人生の方が楽しいと思いますよ。

 

河井さん:そうですね。そのために独立しましたから。

 

Dr都:おかげで私もおいしいお酒とご飯にありつけると(笑)

 

河井さん:相談に乗ってくださってありがとうございました。今日はたくさん飲んでいってくださいよ。お酒代は少しサービスときますから。

 

Dr都:やったぁ! 安産祈願!