「医者に聞きたい!」ドクター都のほろ酔いがん相談

がんについて対話形式でじっくりと分かりやすく説明していきます。ほろ酔いで(笑)

ケース7 がんを調べたいという専業主婦の柴田さん(41歳女性)

今回登場するのは、専業主婦の柴田さん。ケース4に大腸がんで登場した柴田さんの奥様です。

柴田さんの会社には家族健診がない上に、お子さんが小さく旦那さんのがん治療の忙しさもあり、妊娠中に行った子宮がんの検査以外は受けたことがないとこと。

旦那さんの治療が落ち着いた今、自分もがんが心配になったため全身を調べたいが、どうしたら良いか分からないので相談に乗って欲しいとのこと。

電話での相談です。

 

 

Dr都:はい、都です。

 

柴田さん:都先生、柴田の妻です。この度は本当にお世話になりました。

 

Dr都:いえいえ、大したことはしていません。それより、ステージ1だったそうですね、良かったですね。根治だと思いますよ。

 

柴田さん:はい。手術当日の夜につなげたところから出血が見られたということで、緊急で呼び出されたり、入院が少し長引いたりしましたが、近所だったのですぐに駆けつけることができました。近くの病院を勧めてくださって助かりました。ありがとうございます。

 

Dr都:結局出血の原因は分からず、調べた時にはもう止まってしまっていたそうですね。でもまあ、大きな合併症が起こらずに良かったです。

 

柴田さん:良かったです。今では、私にがんがないかどうか調べるようにしつこく言ってきます。早期発見が大事なんだぞって偉そうに。

 

Dr都:はい、早期発見はとても大事です。早期のうちに治療すれば、例えがんでも根治する可能性が高くなりますから。

 

柴田さん:とは言われたものの、どのような検査を受ければよいのか分からなくて…

 

Dr都:これまで、がんについてどのような検査を受けたことがありますか?

 

柴田さん:下の子を妊娠した時に子宮がん検診を受けました。3年くらい前でしょうか。あとは職場勤めをしていた30代半ばまでは健康診断を受けていました。

 

Dr都:旦那さんの会社では家族健診は行っていないのですね?

  

柴田さん:はい。なんせ小さな会社ですから、そういうのはありません。

 

Dr都:分かりました。一般的な健康診断では、レントゲンで肺がん、バリウム胃がん便潜血で大腸がんの3つを調べることができます。あとは、オプションで子宮頸がんや乳がんも調べることができます。

 

柴田さん:そうなんですね。

 

Dr都:家族健診のない専業主婦の方ががんを調べる方法は、自治体が行っているがん検診か病院が行っている人間ドックしかありません。症状があれば保険でも検査できますが、症状がなくてただ調べたいというだけだと自費になってしまいます。

 

柴田さん:そうですか…。病院のやつを見ましたが、結構料金がかかりますよね…

 

Dr都:病院によって料金はまちまちですが、すべてを調べようとすると5万円以上はかかりますね。それにCT、MRI、PET-CTなどのオプションを付けると、さらに料金がかかります。

 

柴田さん:じゃあ、自治体のがん検診にするかなぁ。でも、毎回毎回行けるわけではないし…

 

Dr都:自治体が行っているがん検診は、肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんの5種類です。費用は自治体にもよりますが、最大でも数千円くらいですね。ところで、柴田さんは今おいくつですか?

 

柴田さん:41歳です。

 

Dr都:では、胃がん検診だけ50歳以上なので、残りは通知が来ていると思います。

 

柴田さん:はい。来ていました…でも…一つも行っていないんです…。肺がん検診は夫も私もタバコを吸わないのでいらないと思って行かず。大腸がん検診は、容器を取りに行って提出にも行かなければならないと書いてあったので面倒くさくて行っていません。子宮頸がん検診は下の子の妊娠時にやったので、いいかなと…。乳がん検診は先月マンモグラフィーの通知がきたのですが、授乳中はダメとあったので受けていません。

 

Dr都:そうでしたか。とりあえず、子宮頸がん検診は最後から2年以上経っているので行いたいですね。一応、子宮がん検診は2~3年に1回が推奨されています。

 

柴田さん:2、3年に1回ですか…ではそろそろですね。

 

Dr都:授乳中のマンモグラフィーは正確な診断ができないことがあるため、自治体によっては受けられないことがあります。夜間1回くらいの授乳であれば大丈夫かもしれませんが…。卒乳してからにするか、クーポンは使えませんが医療機関でエコーをするかですね。

 

柴田さん:分かりました。

 

Dr都:大腸がん検診の提出は確かに面倒くさいですね。提出日に合わせて持っていかなければなりませんしね。

 

柴田さん:そうなんですよ。あと、肺がん検診は受けなくてもいいですよね?

 

Dr都:アジア人の非喫煙女性にも見られる肺がんがあるので、40歳以上の方はやはり受けた方が良いと思います。

 

柴田さん:タバコを吸っていなくても肺がんになるんですか??

 

Dr都:はい。原因は遺伝子変異だったり、女性ホルモンも関係あるなんて言われていますけど。

 

柴田さん:胃がん検診もでしょうか…?

 

Dr都:ピロリ菌の有無や胃粘膜の程度で変わるのですが、定期的には受けた方がいいでしょうね。

 

柴田さん:そうなると、ドックに入った方がいっぺんにできて楽ですね。

 

Dr都:そうですね。あとは、ドックには、お腹のエコー検査と肝炎ウイルス検査を追加できるというメリットがあります。お腹のエコーで、肝臓、胆のう、胆管、すい臓、腎臓、膀胱にがんがないかを調べることができます。肝炎ウイルスも一度は調べておきたいですね。

 

柴田さん:もうこれは人間ドックしかないですね。分かりました。

 

Dr都:小さなお子さんを抱えている方は、1日預けてドックで調べた方が楽でしょうしね。

 

柴田さん:そう思います。お忙しいのに、お電話でご丁寧に教えて頂き有難うございました。

 

Dr都:いえいえ。また何かありましたらご連絡ください。

 

柴田さん:有難うございました。では失礼いたします。